交通事故の3つの解決方法について:③裁判による解決
前回、前々回と交通事故の解決方法について解説してきましたが、今回は最後に裁判について解説します。
裁判(訴訟)による解決
交通事故の被害者は加害者に対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有しています。そのため、こうした損害賠償請求を裁判つまり訴訟によって解決することも当然可能です。ただ、後述するように訴訟は時間や費用がかかるため、いきなり裁判を起こすというのは現実的ではありません。
まずは示談交渉を検討するのが一般的です。
裁判をするメリット
では、裁判による解決を図ることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
裁判は裁判所という国の機関を利用して問題を解決します。そのため、そこでなされた判決は最終的な判断となり、当事者は拘束されることになります。
また、裁判手続きは一度始まると、加害者は裁判手続きに参加する意思がなくても強制的に手続きやその結果としてされる判決に拘束されます。
このように裁判の最大のメリットは強制的に問題を解決することができるという点です。そのため、加害者や保険会社が示談や協議に応じない場合であっても解決が可能になるのです。
また、裁判のもう一つのメリットは保険会社が提示する示談金よりも金額な高くなる傾向にあるという点です。
というのも、保険会社が提示する示談金は保険会社の基準に従って計算されており、こうした基準と比較して裁判で用いられる基準というのは高くなる傾向にあるのです。そのため、裁判で解決を行う場合には最終的な損害賠償額が高くなることが期待できます。
裁判をするデメリット
他方で裁判をする場合のデメリットとしては費用や時間がかかるという点が挙げられます。
特に示談交渉などと比較した場合に一番大きいのが時間の問題です。
一般的に裁判で解決を図った場合、金額や事案の内容にもよって変化しますが、平均すると12ヶ月程度かかると言われています。
示談交渉であれば早ければ1ヶ月程度で終了することと比較するとその差は顕著です。
また、費用面も無視できません。裁判は必ずしも弁護士に依頼する必要はありませんが、弁護士の力を借りないで行うというのは事実上困難です。そのため、弁護士費用はほぼ必ず発生することになります。弁護士費用は事案や依頼先によって異なりますが、請求額の10%くらいが目安となっているようです。
ただ、この弁護士費用は任意保険の弁護士費用特約によってまかなえる場合もあります。そのため、裁判を検討する場合には保険の弁護士費用特約が利用できないか確認してみましょう。