弁護士特約のメリット・デメリット

弁護士特約のメリット・デメリット

2021年4月13日 オフ 投稿者: edt

今回は前回に引き続き弁護士特約についてみていこうと思います。

弁護士特約のメリット

弁護士特約を利用することのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
具体的なメリットについて解説していきます。

費用倒れになる心配なく弁護士に依頼することができる

交通事故に遭った場合には弁護士に依頼することで適切な法的なアドバイスを受けながら手続を進めていくことができます。
しかし、弁護士に依頼する以上弁護士費用がコストとしてかかってきます。
交通事故に遭った被害者の中には弁護士費用を負担することができないことを理由に依頼することを断念する方もいるでしょう。

そこで弁護士費用特約を利用することで弁護士に依頼するための弁護士費用を補償してもらえます。

弁護士費用特約を利用すると、弁護士費用300万円までは保険会社が全額弁護士費用を負担してくれます。

示談交渉を有利に進めることができる

さらに,弁護士に依頼することで回収できる慰謝料額が高くなる可能性があります。
交通事故の慰謝料の損害賠償の基準については以下の3つの基準が存在しています。
それは自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準です。
自賠責基準とは運転者が強制的に加入しなければならない自賠責保険から支払いを受けられる金額を基準とするものです。被害者への最低限度の補償を確保することが目的ですので、支払われる金額は3つの基準のうち最も低くなります。
任意保険会社は、この自賠責基準により計算された金額を示談案として提示してくることがありますが、それは自賠責基準の範囲内であれば任意保険会社が自賠責から支払いを受けられて会社として負担を減らせられるからです。

任意保険会社基準とは、各任意保険会社における支払基準のことです。各保険会社による社内基準ですので外部的に拘束力はありません。
裁判をした場合に認められる賠償額よりも低額に設定されているのが通常ですから任意保険基準によって安易に示談をしないようにしましょう。
弁護士基準とは,過去の裁判例を参考に算出された慰謝料算定基準になります。
この基準は上述の2つの基準と比較して最も高額なものになります。
この基準は,依頼を受けた弁護士が保険会社などと交渉する際や,裁判を起こした場合に使用することになりますので,この基準の適用を受けるには被害者の方が弁護士に事件を依頼することが簡便な方法です。

弁護士に依頼するだけでも提示される示談金が増額する可能性がある

弁護士に依頼をするだけで,保険会社が示談金の提示額を増額してくることがあります。
なぜかというと,被害者本人が保険会社と交渉している段階では,被害者が諦めれば増額して保険金を支払う必要がありませんので要求を拒否していれば済みます。

しかし,弁護士が被害者の代理人となると,提案をみだりに拒絶していると次は裁判手続に移行するはずです。そして訴訟で弁護士基準に基づいた高額な賠償が命じられる可能性があります。
そこで保険会社としては,弁護士が代理人となった場合には早々に示談金を増額して裁判に行く前に和解してしまいたいとう動機がはたらきます。

したがって,弁護士に依頼するだけで保険会社が提示する示談金が増額する可能性がありますので,被害者の方にとってメリットになります。

弁護士特約のデメリット

それでは、弁護士特約を付帯することにデメリットはあるのでしょうか。

保険料が余分にかかる

弁護士特約を保険に付帯することで、自動車保険の保険料が上がります。
年間1300円から1500円程度が保険料の相場です。
1年間交通事故に遭わなければこの保険料は無駄になりますのでデメリットともいえるかもしれません。

しかし、保険とは不測の交通事故に遭った場合に補償を受けることができるという安心を購入しておくことで日々安心して自動車を利用することができるという仕組みです。

したがって万が一交通事故に遭った場合に補償を受けることができるという制度を年間1500円程度で利用できるということを考えて経済的に合理的かどうかを判断する必要があります。

特約を利用しても保険の等級には影響が出ない

保険を利用すると等級が下がるため、弁護士費用特約を利用することで等級に影響が出てくると考えられる方もいると思います。

しかし、保険適用が等級に影響するのは、対人や対物、車両保険に限られます。
したがって、弁護士費用特約を利用したとしても、保険の等級に影響が出てくることはありませんし、翌年の保険料が上がることもありません。