行政書士に相談すべき場合~後遺障害等級認定の異議申し立てをする

行政書士に相談すべき場合~後遺障害等級認定の異議申し立てをする

2020年4月4日 オフ 投稿者: 田中

前回、前々回と、交通事故の被害者になった場合に、行政書士に相談すべき3つのケースをご紹介してきました。

①治療費などの被害者請求をする場合
 解説記事はこちら
 『行政書士に相談すべき場合、相談までの流れ』

②後遺障害等級認定の申請で、被害者請求をする場合
 解説記事はこちら
 『行政書士に相談すべき場合~後遺障害等級認定の申請で被害者請求をする』

③後遺障害等級認定の異議申し立てをする場合
今回はその③、最終回です。

~「異議申し立て」って何?~

ここでは後遺障害等級認定の「異議申し立て」について解説いたします。
後遺障害等級認定とは、交通事故によって受けた傷害が一定期間の治療を経ても治らず残ってしまった場合に、自賠責保険の損害賠償額を決めるために用いられる計算方法です。
16等級142項目と細かく決められていますが、認定された等級が必ずしも妥当とは限らず、納得できないケースも少なからずあるようです。
そんな場合に利用して欲しいのが「異議申し立て」の制度です。
被害者が異議申し立てを行うと、自賠責損害調査事務所という機関が等級認定を改めて審査します。

~異議申し立ての注意点~

認定された等級が不満だからと言って、無制限に異議申し立てができるわけではありません。
ご自身のケースが異議申し立てをするべきかどうか、専門の法律家に相談して決めた方が無難です。
以下に異議申し立てに関する注意点を記載致します。

【費用はいくら掛かるのか?】

後遺障害等級認定の異議申し立てに、費用は掛かりません。

【何回までできるのか?】

後遺障害等級認定の異議申し立ては、何度でも行うことができます。
ただし時効があるので、それを過ぎてしまうと申し立てできなくなります。

【いつまでできるのか?】

後遺障害等級認定の異議申し立ての時効は、不法行為による損害賠償請求権の時効要件に準じます。
これは民法724条の規定が適用されるもので、加害者を知った時から3年行使しなければ権利が消滅します。
つまり後遺障害等級認定の異議申し立ては原則で3年間権利を行使しなければ、その後はできなくなってしまします。

【異議申し立てのデメリット】

異議申し立てを行う場合、ただ「認定された等級が不満」というだけでは、申請しても認定結果は変わりません。
医師による新たな診断書の提出など、当初の審査結果が不当である旨を立証する証拠を提出しなければ、認定を覆すことは難しいのです。
そのため素人である被害者本人が異議申し立てを行っても、結果が覆る確率は低い傾向にあります。

後遺障害等級認定の不服申し立ては、行政書士の受任可能な業務です。自分だけでは必要な書類を揃える自信がない場合は、一度行政書士に相談してみるのがおすすめです。

~異議申し立て以外の方法~

等級認定の結果が不満な場合、異議申し立て以外にも救済方法があります。
それは「紛争処理」と「訴訟」の二つです。

【紛争処理のメリット・デメリット】

紛争処理とは、自賠責保険・共済紛争処理機構に申請して等級認定を争う方法です。
同機構は公平中立な第三者的な立場で紛争を解決する組織で、法律に基づく裁判外の紛争処理機関です。
審理は提出された書面のみで行われ、審査員は弁護士や医師、学識経験者などで構成されています。
異議申し立て同様に費用が掛からないところがメリットですが、1度しか申請できない点や、結果に対して不服申し立てができないことがデメリットと言えます。

【訴訟のメリット・デメリット】

後遺障害等級認定や紛争処理の結果に納得できない場合、裁判に訴えて等級を争うこともできます。
裁判で出た判決は最終決定となりますので、ここで納得できる判決が得られれば、メリットとなるかもしれません。
しかし裁判が結審するまでには、比較的長い時間と労力を要します。
訴訟費用や弁護士費用なども掛かる上、場合によっては主張する等級よりも低い等級と判断される可能性もあります。
等級認定を裁判で争うことは、対比用効果やリスクの面でもあまりおすすめはできません。