行政書士に相談すべき場合~後遺障害等級認定の申請で被害者請求をする
交通事故の被害者になってしまった場合、行政書士に相談すべき場合が3つあります。
①治療費などの被害者請求をする場合
②後遺障害等級認定の申請で、被害者請求をする場合
③後遺障害等級認定の異議申し立てをする場合
以前、①をご説明しましたので、今回は②について解説致します。
◆①に関する解説は、こちらの記事をご覧ください。
『行政書士に相談すべき場合、相談までの流れ』
~「後遺障害等級認定」って何?~
「後遺障害」とは、一定期間の治療後に残ってしまった後遺症のうち、以下の要件全てに該当する状態を言います。
- 交通事故によって受けた精神的・肉体的傷害である
- 将来において、回復が見込めない状態である
- 交通事故と症状固定状態の間に、相当の因果関係が認められる
- 存在が医学的に認められる
- 労働能力の喪失を伴う
- その程度が、自賠責法施行令の等級に該当する
- 賠責保険の後遺障害等級表のいずれかに該当する
「等級認定」とは、態様の違う被害者それぞれの損害を迅速かつ公平に算出するため、後遺障害を16等級142項目の等級に分類して当てはめていく作業です。
自賠責保険で使われている分類方法ですが、この認定が適正に行われるか否かによって、損害賠償請求額に大きな違いが出てくる重要なポイントです。
~「被害者請求」って何?~
加害者が任意保険に加入している場合、自賠責保険会社に対する後遺障害等級認定の手続きは任意保険会社がやってくれます。
しかし加害者側の保険会社が、被害者のために積極的に動いてくれるかは怪しいところです。
そのため法律では、被害者の側から等級認定を申請する権利を認めています。(自賠責法16条)
この申請行為を「被害者請求」と言いますが、必要書類や立証資料を被害者側が揃える必要があります。
手間は掛かりますが、適正な認定が期待できることや、任意保険会社との示談を待たずに(等級に応じた)自賠責限度額を受け取れると言うメリットがあります。
提出書類を自分で揃えるのが難しい場合には、弁護士や行政書士など法律の専門家に相談して申請することもできますので、交通事故で後遺障害が残った場合には、選択肢にいれておいてください。
~被害者請求(②)で行政書士に相談すべき理由~
上記でご説明したように、交通事故の賠償金請求や示談交渉ではよく分からない専門用語がたくさん出てきます。
保険や賠償金請求に不慣れな方には、これらすべてを理解するのは大変な労力のはずです。
そのため交通事故の損害賠償請求に関する手続きでは、法律の専門家に相談するのがおすすめです。
行政書士は弁護士のように裁判で代理人を務めることはできませんが、交通事故業務に関して以下の内容で受任が可能です。
- 自賠責保険の請求に関する書類の作成や、手続きの代行
- その他関連する書類の作成
- 自賠責保険請求に関する相談を受けること
◆交通事故に関する詳しい業務範囲は、こちらの記事をご覧ください。
『交通事故における弁護士と行政書士の業務範囲』
~行政書士に相談するまでの流れ~
交通事故で傷害を受けてしまった場合、事案が終結するまでの流れは2パターンあります。
【傷害が完治するケース】
最終的に傷害が完治するケースでは、以下の流れになります。
①交通事故が発生し、傷害を受ける
↓
②傷害が完治し、治療が終了する
↓
③加害者側の保険会社と、示談交渉をする
↓
④損害賠償を金を受け取る
↓
一件落着(終結)
【傷害が完治せず、残ってしまうケース】
傷害が完治せず残ってしますケースでは、以下の流れになります。
①交通事故が発生し、傷害を受ける
↓
②一定期間治療をするも、完治しない
↓
③症状の固定
↓
④自賠責保険への被害者請求手続きによる、後遺障害等級の認定手続きをする
↓
⑤加害者側保険会社と、示談交渉をする
↓
損害賠償金を受け取る
↓
一件落着(終結)