交通事故で骨折したときの慰謝料の相場はいくら?後遺障害についても解説
今回は交通事故で骨折したときの慰謝料の相場について解説します。
交通事故で骨折した際、慰謝料を請求する根拠の一つとなる後遺障害が認定されるケースについても触れていきます。
【事例】骨折で3ヶ月骨折した場合の慰謝料
実際に交通事故で骨折をして3ヶ月間入通院した場合、どのくらいの慰謝料を請求できるのでしょうか。
弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準ごとに具体的に見ていきましょう。
弁護士基準による慰謝料の金額
「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称:赤い本)」という書籍に弁護士基準の慰謝料相場が掲載されています。下記の表が交通事故で骨折した場合の弁護士基準による慰謝料相場です。弁護士基準による慰謝料の金額は、下記の表をもとに計算していきます。
弁護士基準の慰謝料相場(単位:万円)
単位(万円) | 入院 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | 6ヶ月 | 7ヶ月 | 8ヶ月 | 9ヶ月 | 10ヶ月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通院 | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 | 266 | 284 | 297 | 306 | |
1ヶ月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 | 252 | 274 | 291 | 303 | 311 |
2ヶ月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 | 260 | 281 | 297 | 308 | 315 |
3ヶ月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 | 287 | 302 | 312 | 319 |
4ヶ月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 | 292 | 306 | 326 | 323 |
5ヶ月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 | 278 | 296 | 310 | 320 | 325 |
6ヶ月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 | 300 | 314 | 322 | 327 |
7ヶ月 | 124 | 157 | 188 | 217 | 244 | 266 | 286 | 301 | 316 | 324 | 329 |
8ヶ月 | 132 | 164 | 194 | 222 | 248 | 270 | 290 | 306 | 318 | 326 | 331 |
9ヶ月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 274 | 292 | 308 | 320 | 328 | 333 |
10ヶ月 | 145 | 175 | 203 | 230 | 256 | 276 | 294 | 310 | 322 | 330 | 335 |
上記の表によると、交通事故で骨折して3ヶ月間通院した場合の弁護士基準の慰謝料金額は73万円となっています。また、交通事故で重度の骨折を負い、治療のために3ヶ月間の入院を余儀なくされた場合、145万円の慰謝料を請求することが可能です。
任意保険基準による慰謝料の金額
任意保険基準による慰謝料の金額は、各保険会社がそれぞれ独自で定めていて正式に公開されているわけではありません。ですが、示談交渉の際に加害者側の保険会社が提示してくる慰謝料の金額が、任意保険基準で算出されたものであるため、そこからある程度の相場は把握できます。
下記の表が、任意保険基準による慰謝料の金額の相場です。任意保険基準による慰謝料の金額を計算する場合、下記の表を使用して行ないます。
任意保険基準の慰謝料相場(単位:万円)
入院 | 1か月 | 2か月 | 3か月 | 4か月 | 5か月 | 6か月 | 7か月 | 8か月 | 9か月 | 10か月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通院 | 25.2 | 50.4 | 75.6 | 95.8 | 113.4 | 113.4 | 128.6 | 141.2 | 152.4 | 162.6 | |
1か月 | 12.6 | 37.8 | 63 | 85.6 | 104.7 | 120.9 | 134.9 | 147.4 | 157.6 | 167.6 | 173.9 |
2か月 | 25.2 | 50.4 | 73 | 94.6 | 112.2 | 127.2 | 141.2 | 152.5 | 162.6 | 171.4 | 176.4 |
3か月 | 37.8 | 60.4 | 82 | 102 | 118.5 | 133.5 | 146.3 | 157.6 | 166.4 | 173.9 | 178.9 |
4か月 | 47.8 | 69.4 | 89.4 | 108.4 | 124.8 | 138.6 | 151.3 | 161.3 | 168.9 | 176.4 | 181.4 |
5か月 | 56.8 | 76.8 | 95.8 | 114.6 | 129.9 | 143.6 | 155.1 | 163.8 | 171.4 | 178.9 | 183.9 |
6か月 | 64.2 | 83.2 | 102 | 119.8 | 134.9 | 147.4 | 157.6 | 166.3 | 173.9 | 181.4 | 185.4 |
7か月 | 70.6 | 89.4 | 107.2 | 124.3 | 136.7 | 149.9 | 160.1 | 168.8 | 176.4 | 183.9 | 188.9 |
8か月 | 76.8 | 94.6 | 112.2 | 128.6 | 141.2 | 152.4 | 162.6 | 171.3 | 178.9 | 186.4 | 191.4 |
9か月 | 82 | 99.6 | 116 | 131.1 | 143.7 | 154.9 | 165.1 | 173.8 | 181.4 | 188.9 | 193.9 |
10か月 | 87 | 103.4 | 118.5 | 133.6 | 146.2 | 157.4 | 167.6 | 176.3 | 183.9 | 191.4 | 196.4 |
上記の表によると、交通事故で骨折して3ヶ月間通院した場合の任意保険基準の慰謝料金額は37万8000円になります。一方、3ヶ月間入院した場合に請求できる慰謝料金額は、75万6000円です。任意保険基準の慰謝料の算出額は、弁護士基準の慰謝料の算出額の約半分となります。
自賠責基準による慰謝料の金額
自賠責基準による慰謝料の金額は、「4300×(初診から治療までの日数または実際に入通院した日数の2倍の数)」で計算します。1ヶ月を30日と考えて3ヶ月を90日とすると、「4300×90」の式で慰謝料の金額を計算していくことになります。その結果、交通事故で骨折して治療のために3ヶ月間の入通院を余儀なくされた場合、請求できる慰謝料の金額は38万7000円となります。
骨折で後遺障害と認められるケースとそのときの慰謝料
交通事故による骨折で後遺症が残った場合、症状によっては後遺障害と認められる場合があります。もし、後遺障害と認定された場合、交通事故の被害者は加害者に対して後遺障害慰謝料を請求することが可能です。
そこで、交通事故で骨折した際、後遺障害と認められるケースおよびその際に請求できる後遺障害慰謝料の金額について見ていきます。
神経障害、骨の変形、機能障害などが後遺障害等級認定の対象
交通事故での骨折により、神経を損傷してしまった場合、後遺障害等級認定の対象となります。具体的には、骨折箇所にしびれが残ってしまうケースです。上記の場合、12級または14級の後遺障害等級認定がなされる可能性があります。
交通事故で負った骨折を治療しても、骨の接合がうまくいかなかったり、偽関節が生じたりして、骨が変形してしまった場合も対象となります。比較的軽度の骨の変形であれば12級の認定が考えられますが、重度の場合は7級が認定される可能性もあります。
また、交通事故での骨折により、関節部分の損傷がひどく、自由に動かせなくなったときも後遺障害等級認定の対象です。負傷した関節部分の機能障害が重いほど、認定される等級も高くなります。症状によっては、一番上の等級である1級が認定される場合もあります。
骨折で請求できる後遺障害慰謝料の相場
骨折が後遺障害と認められた場合に請求できる後遺障害慰謝料の相場は、下記の表のとおりです。
後遺障害慰謝料の相場
等級 | 自賠責保険基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準(裁判基準) |
---|---|---|---|
第1級 | 1,100万円 | 1,600万円 | 2,800万円 |
第2級 | 958万円 | 1,300万円 | 2,370万円 |
第3級 | 829万円 | 1,100万円 | 1,990万円 |
第4級 | 712万円 | 900万円 | 1,670万円 |
第5級 | 599万円 | 750万円 | 1,400万円 |
第6級 | 498万円 | 600万円 | 1,180万円 |
第7級 | 409万円 | 500万円 | 1,000万円 |
第8級 | 324万円 | 400万円 | 830万円 |
第9級 | 245万円 | 300万円 | 690万円 |
第10級 | 187万円 | 200万円 | 550万円 |
第11級 | 135万円 | 150万円 | 420万円 |
第12級 | 93万円 | 100万円 | 290万円 |
第13級 | 57万円 | 60万円 | 180万円 |
第14級 | 32万円 | 40万円 | 110万円 |
交通事故での骨折により、神経障害が残ってしまい、14級の後遺障害等級が認定されたとします。この場合、上記の表によると、弁護士基準での慰謝料相場は110万円になります。一方、任意保険基準の場合は40万円、自賠責基準の場合は32万円と、弁護士基準の慰謝料相場の半額以下です。
どの等級の後遺障害慰謝料の相場を見てみても、弁護士基準の後遺障害慰謝料の相場は、任意保険基準または自賠責基準の相場よりも大きく上回っています。
適切な慰謝料相場を知ろう
今回は交通事故で骨折した際の慰謝料の相場について紹介しました。
適切な慰謝料相場を知ることが慰謝料請求の第一歩となるでしょう。