自分の子どもが交通事故を起こしてしまった場合について解説

自分の子どもが交通事故を起こしてしまった場合について解説

2021年1月25日 オフ 投稿者: 田中

交通事故の加害者には誰しもがなる可能性があります。特に自動車や原付などと違って自転車は免許もいらない上に、小学生以下の子供でも運転できるため、こうした子供でも交通事故の加害者になってしまう可能性があります。
特に昨今は高齢者が増加しており、こうした高齢者との交通事故は、通常の成人との事故に比べて重症化しやすく大きな事故になってしまいがちという特徴もあります。
そこで、今回は子供が交通事故の加害者になってしまったケースで親はどのように対応すべきかという点について解説したいと思います。

親の法的な責任について

まず、法的な責任について確認してみましょう。交通事故の被害者が加害者に対して損害賠償請求できるのは民法上の不法行為責任として損害賠償を請求できるという事になっています。
そしてこの不法行為が認められるためには、加害者に責任能力というものが認められなければいけません。
未成年者の責任能力について定めた民法712条には次のように書かれています。
「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」
この「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」というのは概ね小学生卒業程度以上の年齢で認められるケースは多いのですが、それ以下の場合には否定されるケースが多いです。
そして、この責任能力が子供に認められないケースでは民法714条に従って親が責任を負うことになっています。
ここまで読むと、あれと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、親が責任を負うのは基本的には子供に責任能力が認められない場合です。じゃあそれ以外はどうなるのかというと、子供自身が責任を負うことになります。

子供に認められた損害賠償の例

子供自身が責任を負うとしても、一定の場合には管理監督者として親が責任を負うケースがあります。では、実際に子供が交通事故を起こしたケースではどのくらいの損害賠償請求がされているのでしょうか。

実際にあった事件として小学5年生の児童が自転車で被害者をはねてしまい、結果として被害者が寝たきりになってしまったというようなケースがあります。この事例でも親に対して損害賠償請求がされましたが、結果として9500万円という非常に高額な賠償金を支払う判決が出されました。
このように子供が起こした事故だとしても被害者が寝たきりになったり、死亡してしまうようなケースでは、被害者がその後の人生で得るはずであった利益など(逸失利益といいます。)が損害賠償の対象になるため、非常に高額な賠償金額になってしまいます。
特に被害者が一家の大黒柱であったようなケースや非常に高収入を得ているような人だった場合には、必然的に賠償金の額は上がっていきます。
子供の事故だからと甘く見ていると非常に大きな問題になってしまうケースは少なくないのです。

子供が事故を起こした場合にどう対応したら良いか

ではどのように親として対応すべきなのでしょうか。
まずは、当然ですが被害者に対する謝罪などの誠意を尽くしましょう。法的には子供にしか責任がない可能性はありますが、それでも親としての道義的な責任がなかったことになるわけではありません。
また被害者の心情を悪化させて良いことは何もありません。まずは被害者に連絡を取り十分謝罪を行うところから始めましょう。
その上で次に確認すべきなのは子供にかけている保険やご自身がかけている保険で何か使えるものがないかと言う点は確認すべきでしょう。相手からどのような請求が来るかは相手から請求されるまで分かりませんが、請求が来ても備えられるように保険で使えそうなものがあれば保険会社に連絡し確認しておくと良いでしょう。