後遺症への慰謝料はどうやって決まるのか?:3つの基準について解説

2022年4月18日 オフ 投稿者: 田中

後遺症が残った場合には慰謝料が請求できるというのは聞いた事があるという方はいらっしゃるでしょう。しかし、具体的にその慰謝料がどのように決まるのかというのはご存じない方が多いのでは無いでしょうか。
そこで今回は後遺症への慰謝料の基準について解説します。

後遺症の慰謝料と後遺障害等級


後述するように後遺症の慰謝料を決定するに当たっては3つの基準があり、それぞれどれに従うかによって金額が変わります。
しかし、それ以上に重要なのが後遺障害等級の認定です。どの基準に従ったとしてもこの後遺障害等級の認定が基本となります。
後遺障害等級とは後遺症の重さによって1級から14級の中で該当する等級を決めるものです。
各等級ごとに細かくどのような症状が当たるのか決められており、最も重い後遺症が1級、軽い物が14級となっています。
後遺症への慰謝料はこうした後遺障害等級のどれに当たるのかという点も問題を発生するポイントとなります。

後遺症への慰謝料と3つの基準


後遺障害等級の認定が決まると次に問題になるのが後遺障への慰謝料をどの基準に従って算定するのかという点です。
後遺症への慰謝料を算出する基準としては①自賠責基準②任意保険基準③弁護士(裁判)基準の3つがあり、①が最も低い金額となり③が最も高い金額となる傾向にあります。
そのため、どの基準に従って算出するのかというのは最終的な金額を決める上で非常に重要なポイントとなります。

①自賠責基準

自賠責の基準に従った場合、最も重い1級では1150万円が後遺症への慰謝料とされており、最も軽い14級の場合には32万円となっています。
なお、1級は両目を失明したような場合や両腕を失った場合など著しい後遺症が残った場合がこれに該当します。
これに対して14級は局部に神経症状を残す場合、つまりむち打ちなどで痛みが残っているケースがこれに該当します。
1級のようなこれまでの生活がほぼできなくなってしまうような場合でも1000万円程度の慰謝料と考えると非常に低額といえるでしょう。

②任意保険基準

任意保険の場合には保険会社各社が定めた基準に従うことになり正確な基準は各保険会社から提示されるまで分りません。そこで、一つの参考になるのが以前使われていた旧任意保険支払基準です。
この基準に従うと、1級の場合は1900万円、14級の場合には40万円となっています。先ほどの自賠責と比較すると少し高額となっています。

③弁護士(裁判)基準

最も高額な慰謝料が期待できるのがこの③弁護士(裁判)基準です。この基準に従うと1級では2800万円、14級では110万円と先ほどの2つと比較して非常に高額となっています。これは裁判まで行かなくても弁護士に交渉してもらうことでも適用される場合のある基準のため、慰謝料の金額に納得できない場合には専門家に相談してみましょう。