交通事故を起こすとどういう刑罰が待っている?

2021年9月10日 オフ 投稿者: 田中

これまでこのブログでは交通事故を起こした場合における民事上の責任について解説してきました。しかし、交通事故は民事事件の側面と刑事事件としての側面があります。そこで今回は交通事故の刑事事件としての側面について解説したいと思います。

民事事件と刑事事件とは?

交通事故における民事事件というのは被害者に発生した経済的な損害や生命身体の侵害に対して損害賠償という形でその損害などを填補するものになります。他方で、刑事事件は被疑者の行為に対して刑罰権を行使するか否かを決定する手続きになります。
したがって、目的がまず異りますし、裁判の結果も民事事件で刑罰を科されることはないので、効果面でも異なることになります。

交通事故の加害者と刑事責任

交通事故の加害者は事故によって物を破損させたり被害者を死亡させた場合にはこれらの行為に対して刑罰が科されることとなります。具体的には、以下のような刑事責任画問われる可能性があります。

1)器物損壊・・・交通事故により他人の所有物などを壊してしまった場合に問われる可能性があります。法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料となります。

2)過失運転致死傷・・・自動車を運転する際に前方不注意などにより事故を起こし、被害者を死亡させてしまった場合に成立します。法定刑は7年以下の懲役刑または100万円以下の罰金刑です。

3)危険運転致死傷・・・危険運転と呼ばれる特に悪質で危険な運転を行い、その結果、死亡事故を起こした場合に成立します。法定刑は、被害者が負傷した場合は15年以下の懲役刑ですが、被害者が死亡した場合には1年以上の有期懲役刑となります。このように書くと1年以上って軽くないと思われるかもしれませんが最長で20年感となる可能性もあります。

ここで注意して頂きたいのは免許などの点数と上の刑事責任はまた別の話であるという点です。今回は説明を省略しますが、免許に対する処分はいずれも行政処分となるためこうした刑事責任とは別に科されます。誤解している方が多いので注意しましょう。

被害者を死亡させてしまったようなケースではすぐに相談を


上で見て頂いたように被害者を死亡させてしまった場合には刑事責任が一気に重くなってきます。刑事責任の追及は前科が発生するなど、加害者にとって一生残るものとなるためそこで適切に行動できるかという点は一生に関わります。被害者を死亡させてしまった場合にはすぐに専門家にご相談ください。