行政書士の仕事と交通事故について

行政書士の仕事と交通事故について

2020年8月5日 オフ 投稿者: 田中

今日は、再確認という意味も込めて行政書士の仕事と交通事故事件の関係について解説したいと思います。
というのも、法律系資格系の中でも司法書士や弁護士は仕事内容やどんな仕事なのか認知されていることが多いのですが、行政書士というのはイマイチ何をやっている仕事なのか分からないという方が多いようです。
そこで今日は、改めて行政書士の仕事と交通事故の関係について解説したいと思います。

行書士の業務範囲

このブログでも過去に取り上げましたが、行政書士の業務範囲というのは行政書士法によって定められています。
行政書士法によると、
官公庁に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること
が行政書士の業務として定められています。
少し分かりにくいので具体例を示すと、次のような文書や手続きを行政書士は業として可能です。
・遺言書、遺産分割協議書の作成
・契約書の作成
・自動車登録の申請手続き
・日本国籍取得の手続き
・内容証明郵便の作成
以上のような文書を行政書士は作成可能です。また、これらは一例に過ぎず、行政書士は官公庁への手続きや、権利義務または事実証明に関する書類を作成可能です。
つまり行政書士の仕事は、簡単にまとめると書類作成と官公庁への手続きを行うことができる資格ということになります。

交通事故における行政書士の業務

さて、行政書士の仕事が以上のようなものだとして、交通事故において行政書士はどのような役割を担うのでしょうか。
交通事故は訴訟になるなどの場合を除く多くの場合、以下のような流れで進んでいきます。
①事故発生
②治療
③症状固定
④後遺障害等級の認定
⑤示談金の支払い
示談金の交渉などは保険会社と行うことになりますが、こうした交渉を行政書士が行うことはできません。残念ながら上であげた行政書士の業務範囲のどれにも該当しないからです。
行政書士が交通事故において果たすことのできるといわれている役割は、
・自賠責保険における被害者請求の際の書類作成
・自費で治療を行う際の健康保険手続き
・後遺障害等級の認定の異議手続き
・示談書の作成
などがあげられます。ただし、これらのうち、被害者請求や異議手続きについては、ケースによっては行政書士が受けることが適切ではないケースもあり、そもそも行政書士が受けることができないと考える人もいるので、あくまでもケースバイケースだと考えてください。
詳しく話すと難しい話になるので、実際にご相談頂く際にはお話させていただいた上でお受けさせて頂いていますので、ご安心の上相談頂ければ幸いです。

行政書士と交通事故

以上のように行政書士が交通事故の事件において果たせる役割は、弁護士が保険会社との交渉などを全て行えることなどを考えると、その範囲は非常に限られた範囲になります。
そのため、弁護士のように交通事故の被害に遭ったらご相談くださいとはいいにくい部分があります。
しかし、受けることができる範囲が限られているからこそ、被害者に特に寄り添って対応が可能だと私は考えています。
交通事故で全てを業務として行うと、確かに案件への理解は深まるでしょうが、他方でこなさなければいけない事務処理量が多く、依頼者の方の声を聞くというのは実際上中々難しいです。
でも、受ける業務量が一部であれば、その分依頼者の方の声に耳を傾けることができます。特に交通事故の被害というのは、日常生活に支障を来しますし、体調にも変化を生じるため生活に与える影響が大きく不安になるのが普通です。こうした中で、少しでも話を聞き、寄り添うだけでも、精神的に大きな違いがあります。
行政書士として法的なサポートをしつつ、こうした精神的なケアが可能なのは行政書士ならではの仕事だと考えています、